【NISAにも最適】バランス型投資信託とは?自動リバランスで手間いらずの資産配分とリスク軽減

投稿者: | 2025年10月25日

はじめに

「資産運用を始めたいけれど、どの商品を選べばいいかわからない」「投資を始めた後、定期的なメンテナンスをするのは面倒だ」と感じている人は少なくないだろう。そのような悩みを抱える投資初心者や、忙しくて時間をかけられない人にとって、非常に有力な選択肢となるのが「バランス型投資信託」である。

バランス型投資信託は、1つの商品で国内外の株式や債券など、複数の資産に分散投資ができるだけでなく、投資家にとって最も手間のかかる作業の一つである「リバランス」を自動で行ってくれる。本記事では、このバランス型ファンドの仕組み、特に「リバランス」の重要性について詳しく解説し、手間をかけずに賢くリスク軽減を図る方法を明らかにする。

バランス型ファンドの基本構造:1本で完結する分散投資

投資の基本は「卵は一つのカゴに盛るな」という格言に代表される分散投資である。特定の資産だけに集中投資すると、その資産が暴落した際に大きな損失を被る可能性がある。そこで、値動きの異なる複数の資産に資金を分けて投資することで、全体のリスクを抑えるのが一般的だ。

複数の資産クラスへの分散

バランス型ファンドは、その名の通り、様々な資産(アセットクラス)をバランス良く組み入れた投資信託である。具体的には、以下のような多岐にわたる資産が投資対象となる。

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債券
  • 先進国債券
  • 国内不動産投資信託(REIT)
  • 先進国不動産投資信託(REIT)

これらの資産は、それぞれ経済状況や金融政策によって値動きの傾向が異なる。例えば、株式市場が好調な時は債券市場が軟調になるなど、互いに補完し合う関係にあることが多い。バランス型ファンドを1本保有するだけで、これら複数の資産へ手軽に分散投資が実現できるのだ。

最も重要な「資産配分」

長期的な投資の成否を分ける最も重要な要素は、個別銘柄の選択よりも「資産配分(アセットアロケーション)」であると言われている。どの資産に、どのくらいの比率で投資するかを最初に決めることが、将来のリターンとリスクを大きく左右する。バランス型ファンドは、専門家があらかじめ最適と考えた資産配分で運用されるため、投資家は複雑な配分比率を自分で考える必要がない。

バランス型ファンド最大のメリット「自動リバランス」

投資を始めた後、当初決めた資産配分は永遠に維持されるわけではない。市場の変動によって、その比率は少しずつ崩れていく。この崩れた比率を元の状態に戻す作業が「リバランス」であり、バランス型ファンドはこの作業を自動で行ってくれるという最大のメリットを持つ。

リバランスとは何か?

例えば、「国内株式50%、国内債券50%」という資産配分で100万円の投資を始めたとしよう。その後、株式市場が好調で国内株式の価値が70万円に上昇し、一方で国内債券の価値が50万円のままだったとする。この時、資産全体は120万円に増えているが、その内訳は「株式 約58%、債券 約42%」となり、当初の50:50の比率から崩れてしまっている。

この崩れた配分を元の50:50に戻すために、価値が上がった国内株式の一部(この例では10万円分)を売却し、その資金で国内債券を購入する。これにより、資産全体は「株式60万円、債券60万円」となり、再び50:50の比率に戻る。この一連の作業がリバランスである。

なぜリバランスが必要なのか?

リバランスの目的は、主に2つある。

  1. リスク管理: 上記の例でリバランスをしないと、資産全体に占める株式の割合が高まり、当初想定していたよりもリスクの高い状態(ハイリスク・ハイリターン)になってしまう。リバランスは、資産配分を一定に保つことで、リスク許容度を超えた運用になることを防ぐ重要な役割を果たす。これが結果として長期的なリスク軽減につながる。
  2. 機械的な利益確定と割安資産の購入: リバランスは、価格が上昇して比率が高くなった資産を売り(利益確定)、価格が下落して比率が低くなった資産を買う(割安での購入)という行為を機械的に繰り返すことになる。感情に左右されずに「高値で売り、安値で買う」を実践できるため、長期的なリターンの向上にも寄与すると考えられている。

しかし、このリバランスを個人で実行するのは非常に手間がかかる。どのタイミングで、どれくらいの金額を売買すればよいか判断し、実行するのは容易ではない。バランス型ファンドは、この面倒な作業をすべてファンドマネージャーが自動で行ってくれるため、投資家は文字通り「ほったらかし」で適切な資産配分を維持できるのである。

具体例で見るバランス型ファンド

バランス型ファンドには、様々な種類の資産配分を持つ商品が存在する。ここでは代表的なものを紹介する。

定番の「8資産均等型」

バランス型ファンドの中でも特に人気が高いのが「8資産均等型」である。これは、前述した8つの主要な資産クラス(国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT、先進国REIT)に、それぞれ12.5%ずつ均等に資金を配分するタイプの商品だ。特定の資産に偏ることなく、世界中の様々な資産に幅広く分散投資できるため、分かりやすく、多くの投資家に選ばれている。例えば、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」などが代表的な商品として挙げられる。

リスク許容度で選べるタイプも

均等配分だけでなく、投資家のリスク許容度に合わせて資産配分を調整したタイプもある。例えば、株式の比率を高めて積極的なリターンを狙う「積極型」、債券の比率を高めて安定的な運用を目指す「安定型」、その中間に位置する「標準型」などだ。自分の年齢や投資目的、どれくらいのリスクなら受け入れられるかを考慮して、最適な商品を選ぶことができる。

バランス型ファンドの注意点

メリットの多いバランス型ファンドだが、いくつか注意すべき点もある。

  • 信託報酬がやや高めになる傾向: 1つのファンドで複数の資産を管理し、定期的にリバランスを行う手間がかかるため、日経平均株価などに連動する単一のインデックスファンドと比較すると、信託報酬(運用管理費用)がやや高めに設定されていることが多い。ただし、そのコストは「手間を省くための手数料」と捉えることもできる。
  • 自由な資産配分の変更はできない: ファンドがあらかじめ定めた資産配分で運用されるため、投資家が「今は株式の比率を増やしたい」といったように、市場の状況に応じて機動的に配分を変更することはできない。

結論:手間をかけずに賢く資産運用を始めよう

バランス型投資信託は、1本で世界中の様々な資産への分散投資を可能にし、最も重要でありながら手間のかかる「リバランス」を自動で行ってくれる優れた金融商品である。当初決めた資産配分を維持し続けることは、長期的なリスク軽減の観点から極めて重要だ。

投資のメンテナンスに時間をかけたくない人、何から始めていいか分からない人にとって、バランス型ファンドは最適な第一歩となり得る。まずはNISA口座などを活用し、少額からでも「おまかせ運用」のメリットを体験してみてはいかがだろうか。

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