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投資信託の「トラッキングエラー」とは?インデックスとの乖離をチェック

投資信託の「トラッキングエラー」とは?インデックスとの乖離をチェック

インデックス運用を行う投資信託を選ぶ際、多くの投資家が重視するのは「インデックスとの連動性」である。しかし、理論上は完全に一致するはずのインデックスと投資信託の価格やリターンに、どうしても「乖離」が生じてしまう。この乖離の度合いを示す指標がトラッキングエラーである。本稿では、トラッキングエラーの概念を解説し、その発生原因と、インデックス運用における運用効率を測る上での重要性について掘り下げていく。

トラッキングエラーとは?

トラッキングエラー(Tracking Error)とは、特定のベンチマーク(指数)の動きに対して、投資信託の基準価額がどれだけ乖離しているかを示す指標である。一般的には、一定期間における指数と投資信託のリターンの差の標準偏差として計算される。トラッキングエラーが小さいほど、投資信託はベンチマークに忠実に連動していると評価できる。

例えば、日経平均株価に連動する投資信託があったとする。日経平均株価が1年間で10%上昇した場合、理想的にはその投資信託も10%上昇するはずである。しかし、実際には9.8%の上昇であったり、10.2%の上昇であったりすることがある。この差がトラッキングエラーとして現れる。

なぜ乖離(トラッキングエラー)が発生するのか?

インデックス運用は、市場全体の値動きを示す指数に連動することを目指す運用手法である。理論上は、指数を構成する銘柄を、指数と同じ比率で保有すれば完全に連動するはずだ。しかし、現実には様々な要因によって、指数との間に乖離が生じる。主な原因は以下の3つである。

1. 配当金の処理

指数を構成する銘柄から支払われる配当金は、インデックス運用において重要な要素である。一般的に、配当金は投資信託の収益として組み入れられ、再投資される。しかし、配当金の権利落ち日と、投資信託が実際にその配当金を受け取るタイミングにはタイムラグが生じることがある。また、配当金に対する税金も考慮する必要がある。

さらに、配当金は指数に組み込まれる場合と、そうでない場合がある。配当金込みのトータルリターンで運用されている指数(配当込み指数)と、配当金を考慮しない指数のどちらに連動を目指すかによって、トラッキングエラーの発生要因となり得る。投資信託の目論見書などで、どの指数に連動を目指しているのか(配当込みか否か)を確認することが重要である。

2. 運用コスト

投資信託を運用するためには、信託報酬(運用管理費用)をはじめ、売買手数料や保管費用などの様々なコストが発生する。これらのコストは、投資信託の純資産総額から差し引かれるため、指数がたとえ10%上昇しても、投資信託のリターンはコスト分だけ目減りすることになる。つまり、コストはトラッキングエラーの直接的な原因となる。

特に、インデックス運用においては、低コストであることが大きなメリットとされる。そのため、トラッキングエラーを小さく抑えるためには、信託報酬をはじめとする運用コストを極力低く抑えているファンドを選ぶことが肝要である。同じインデックスに連動するファンドであっても、信託報酬が異なれば、必然的にトラッキングエラーの大きさも変わってくる。

3. 売買のタイミングと銘柄入れ替え

指数は定期的に構成銘柄の見直しや比率の変更が行われる。この銘柄の入れ替えや比率の変更に合わせて、投資信託もポートフォリオを調整する必要がある。しかし、指数の構成銘柄が変更されるタイミングと、投資信託が実際にその銘柄を売買するタイミングには、わずかながらズレが生じることがある。

例えば、指数の構成銘柄から除外される銘柄を売却し、新たに採用される銘柄を購入する際、市場の状況によっては希望する価格で売買できない場合がある。また、日々の市場の変動に応じて、指数構成銘柄の比率を正確に再現するためには、頻繁な売買が必要となるが、その売買手数料もコストとなり、トラッキングエラーの一因となる。

さらに、投資信託が指数に連動させるために保有する現金の比率(キャッシュポジション)も、トラッキングエラーに影響を与える。現金を多く保有している場合、市場が上昇してもその恩恵を十分に受けられず、指数との乖離が生じやすくなる。

トラッキングエラーは「悪」なのか?

トラッキングエラーは、インデックス運用における「乖離」を示す指標であり、一般的には小さい方が望ましいとされる。しかし、トラッキングエラーが常に「悪」とは限らない。

例えば、指数が下落している局面では、トラッキングエラーがプラス(指数を上回るリターン)になることもある。これは、ファンドマネージャーが指数構成銘柄の売買タイミングを工夫したり、キャッシュポジションを適切に管理したりすることで達成される場合がある。ただし、これはあくまで一時的なものであり、長期的に指数を大きく上回り続けることは、インデックス運用の本質とは異なる。

重要なのは、トラッキングエラーが「なぜ」発生しているのかを理解することである。配当金の処理やコストといった避けられない要因によるトラッキングエラーは、ファンドの運用効率の悪さを示唆する可能性がある。一方で、売買タイミングの工夫など、ファンドマネージャーの裁量によって生じるトラッキングエラーは、運用効率の良し悪しを判断する材料となる。

インデックス運用の運用効率を測る指標として

トラッキングエラーは、インデックス運用における「運用効率」を測る上で重要な指標となる。理想的には、トラッキングエラーはゼロに限りなく近いことが望ましい。しかし、現実には前述のような様々な要因により、ある程度のトラッキングエラーは避けられない。

投資家がインデックスファンドを選ぶ際には、トラッキングエラーの大きさに注目することで、そのファンドがどれだけ効率的にインデックスに連動できているかを判断する材料とすることができる。具体的には、以下の点を比較検討すると良いだろう。

  • 同じインデックスに連動する複数のファンドを比較する:トラッキングエラーが小さいファンドを選ぶことで、より忠実にインデックスの値動きを再現できる可能性が高い。
  • 信託報酬(運用コスト)を確認する:信託報酬が低いファンドは、コストによる乖離が小さくなる傾向がある。
  • 過去のトラッキングエラーの推移を確認する:トラッキングエラーが安定しているファンドは、運用が安定していると判断できる。

ただし、トラッキングエラーだけを見てファンドを選ぶのは早計である。ファンドの純資産総額、運用実績、組入銘柄、そして何よりも自身の投資目標やリスク許容度に合致するかどうかも含めて、総合的に判断することが重要である。

結論(まとめ)

トラッキングエラーとは、投資信託がベンチマークとする指数との間に生じる価格やリターンの乖離を示す指標である。この乖離は、配当金の処理、運用コスト、売買のタイミングといった様々な要因によって発生する。インデックス運用においては、トラッキングエラーが小さいほど、指数に忠実に連動していると評価でき、運用効率が高いと判断できる。

投資家がインデックスファンドを選ぶ際には、トラッキングエラーの大きさを確認することで、ファンドの運用効率を比較検討する有力な材料となる。低コストでトラッキングエラーの小さいファンドを選ぶことは、インデックス投資のメリットを最大限に活かすための重要なポイントである。自身の投資目標達成のためにも、トラッキングエラーという指標を理解し、賢いファンド選びに役立ててほしい。

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